JIS H 8642
溶融アルミニウムめっき
(アルマー加工)
溶融アルミニウムめっきとは
溶融アルミニウムめっき(アルマー加工)とは鉄鋼に高度な
耐食性、耐熱性、耐摩耗性を付与する表面処理です。
アルマー加工は初期にかかるコストの削減だけでなく、
アルマー加工の表面処理の特性である鉄鋼の長寿命化によって
長期的なランニングコストの削減を可能にします。
これらの特徴からアルマー加工は、厳しい環境下において
鉄鋼製品を長く丈夫に使っていただくために最適な表面加工
といえます。弊社は、中部地区唯一のアルマー加工業者として、
絶え間ない研究改善により技術力を高め、現在では
アルマー加工は様々な産業分野でご利用頂いております。
皮膜構造
①酸化アルミニウム2O3膜
②アルミニウム層
③合金層
の順で形成され合金層は炭素鋼の場合、舌状組織で母材と密着するため大変はがれにくく耐食性に優れます。
めっき層の厚さ、融点
(鋼材の種類や炭素量により変化します)
①酸化アルミニウム膜20μ~100μ
②アルミニウム層 659℃
③合金層50μ~200μ位 1160℃
+合金層はビッカース硬度900と硬い性質があります。
溶融アルミニウムめっき加工の施された鉄鋼は
図のように構成された複合金属体となり、
①耐熱性(酸化アルミニウム膜+合金層)、
②耐食性(酸化アルミニウム膜+アルミニウム層+合金層)、
③耐摩耗性(合金層)
の特性を総合機能的に発揮し、非常に利用範囲の広い
耐久性の高い優れた材料となります。


溶融アルミニウムめっきの特徴


耐熱性
一般的に鉄鋼は約500℃の温度を超えると高温酸化が始まり
腐食します。アルミニウムの融点が約660℃なので、溶融
アルミニウムめっき鋼はそれ以上の耐熱性に乏しいように
思われますが、融点1,160℃の合金層が母材を覆い、合金層
中のアルミニウム成分(60%)が鉄よりも優先に酸化される
特性により母材がスケールとして剥離するのを防止し、
ステンレスをも超える顕著な耐熱性示します。




耐食性・
耐海水性
アルミニウムの電位列は亜鉛よりも陽性なので腐食性が大きいことを
示していますが、アルマ加工により、表面に酸素とアルミが結合した、
緻密な酸化アルミニウム皮膜が生成されるため、腐食を抑制します。
従って溶融アルミニウムめっき鋼はアルミニウム層、合金層それぞれが
耐食性に優れた特性を持つため、溶融亜鉛めっき鋼、アルミ亜鉛合金
めっき鋼よりも過酷な環境下で採用されています。





耐摩耗性
皮膜構造でも説明した通り、母体と一番近い合金層はビッカース硬度において900という非常に高い数値を示しており、無加工の炭素鋼650やステンレスの600と比較しても大変高い耐摩耗性が証明されています。
そのため変形、劣化、減肉を防ぐことに非常に有効的です。

経済性
弊社では主に煙突・ダクト・焼却炉部品や熱処理用治具などにアルマ加工を施しています。アルマ加工の持つ耐熱性でそれらの使用期間を大幅に延ばすことにより長寿命化、余分な資源を必要とせずメンテナンスフリーを実現しています。また、ライフサイクルコストが重要視される船舶部品やボトル・ナットなどの小物、各種配管など海洋環境で使用される製品の塩害や薬品類による腐敗も、アルミニウムが侵されない薬品であれば腐食を未然に防ぐことができ、品質はそのまま、長期的にご利用していただけます。

日本産業規格
種類及び記号とめっき厚さ及び付着量
種 類 | 記 号 | めっき厚さ μm※1 | 付着量 g/m2 | 備 考 |
---|---|---|---|---|
溶融アルミニウムめっき 1種 | HDA1 | 60以上 | 110以上 | 耐候性を目的とするもの |
溶融アルミニウムめっき 2種※2 | HDA2 | 70以上 | 120以上 | 耐候性を目的とするもの |
溶融アルミニウムめっき 3種 | HDA3 | 合金層厚さは50以上 | ― | 耐熱性を目的とするもの |
HDA3-D※3 | 合金層厚さは70以上 | ― | 耐候性を目的とするもの |
- ※1
- めっき厚さは、アルミニウム層厚さと合金層厚さとの合計とする。
- ※2
- 溶融アルミニウムめっき2種におけるアルミニウム層厚さは、原則として10μm以上とする。ただし、厚肉又は特殊形状の製品については受渡当事者間の協定によって、アルミニウム層厚さを決めることができる。
- ※3
- 特に指定のある場合には,加熱拡散処理を行うことができる。加熱拡散処理を表す記号は、Dとする。
溶融亜鉛アルミニウム合金めっきの製造設備
溶融アルミニウムめっき槽
3,050(L)x1,200(W)×1,000(D)mm


加工実績

当社の溶融アルミニウムめっきは長期にわたる耐久性が認められ、さまざまな分野の鉄鋼製品に採用されています。煙突・ダクト・焼却炉部品や熱処理用治具、蒸気ボイラーやルツボでは耐熱性で使用期間を大幅に延ばします。また、耐食性の面でも船舶部品やボトル・ナットなどの小物、各種配管など海水や薬品類での腐敗を防ぐ役割から取り入れられています。
耐熱性

直径1400mmの煙突
(2度漬けめっき)
アルミニウムは耐硫化性を有するので耐熱性、耐食性はもとより、ガスによる内側からの腐食も防ぎ、使用期間の延命化に貢献します。

焼却炉用部品
焼却炉内部は非常に高温環境下で使用されるため、アルミニウムめっきは焼却炉にとって最高の仕上と言えます。アルミニウムめっき製焼却炉は安心して長期に渡りご利用いただけます。

熱処理治具
高温加熱と冷却が繰り返される過酷な条件のもとでは溶融アルミニウムめっきを施す事により耐用期間を数倍に延ばしています。

蒸気ボイラー
温水、水蒸気、火災、燃料ガスが一度に使用される条件のもとで溶融アルミニウムめっきはなくてはならない表面処理方法です。また、めっきは皮膜は有害成分を出しませんので食品関係においては安全です。

ルツボ
マグネシウム等の金属を溶解するルツボです。バーナーからの火炎から鉄素地を保護します。また、塩浴式熱処理の分野でも、耐熱耐食性が認められ、長年リピート利用いただいております。

プラント配管ダクト
溶融亜鉛めっきの耐熱温度は200℃前後ですが、溶融アルミニウムめっきでは1000℃近い高温でも耐熱効果があります。アルミニウムの融点(660℃)以上の高温環境では、アルミニウムは二次拡散を加速し、さらに強固な合金層となります。さらに、コスト面でみるとステンレスに比べ、鉄+アルミめっきであれば半値以上のコスト削減に繋がります。
耐食性

グレーチング
海塩粒子が飛来する塩害地域では、重防食の溶融アルミニウムめっき仕様になっております。
溶融亜鉛めっきでは、耐えられない過酷な環境でも、溶融アルミニウムめっきであれば長寿命化を実現します。

海水配管
海水用配管です。海水は非常に腐食性の強い自然環境ですが、溶融アルミニウムめっきは耐海水性にも有効ですので鉄を塩害、潮風、波浪から保護し、メンテナンスフリー化に寄与しています。
また、薬品類に使用される配管においてもアルミニウムが侵されない薬品であれば、ほとんどの場合、溶融アルミニウムめっきを施すことで内部からの腐食を未然に防ぐことができます。
まず一度東海アルマ工業にご相談ください
他社では受け入れ難い小ロットやめっき加工の難しい品物や納期も
お客様と共に相談、研究を重ね“できる方法”を見つけます。
社員全員で心を込めてお客様の品物にめっき加工させていただきます。